夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

……それは遅かったのか。
いっその事、思い出さない方が良かったのかーー?

……いや。
思い出すのが早くても遅くても、俺はきっと夢の配達人を辞めていただろう。
アルバート様を助ける為に。そして、ヒナタとヒカルにもう寂しい想いをさせない為に……。
特にヒナタは、赤ん坊の頃に俺と離れた事がトラウマになっているようで、夜中にふと目を覚まして俺の姿が見えないと不安になって泣き出すんだ。普段はしっかりしてて、ヒカルの面倒もよくみてくれるお姉さんなのに……。俺を求めて、泣くんだ。

傍に居たい。傍に居てやりたい。
これからは家族の為に、家族と共に生きていこう。

そう、思った。
この決断に後悔はない。

……けど。
嘘を吐かなきゃ辞める事が出来なかった自分。
唯一の親友までも騙している自分。
そんな弱い自分が、俺は堪らなく嫌だった。


拳をぎゅっと握り締めながら、俺はシュウをじっと見つめた。
昔とは違う、透明のレンズの眼鏡じゃなくて、薄い黒のレンズのサングラスみたいな眼鏡に変わっている。その奥にある閉ざされた瞳。
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