夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

「良かった!俺達、以心伝心だな!」

声を弾ませて、とても嬉しそうに、幸せそうに微笑ってくれたから……。ただそれだけで、心が満たされていくのを感じるの。
ヴァロンはそうやって、一つずつ私の心を解放していく……。

「シュウとね、もう一度友達になったよ」

「!……本、当?」

「うん。だから、もう大丈夫。
それに夢の配達人の俺は、ちゃんと俺の中に居るから……。
今まで心配かけて、ごめんね」

「っ、……ううんっ」

私がずっと心残りだったシュウさんとの事、夢の配達人の事。大切な親友と大好きなお仕事を失った彼の事がずっとずっと心配だった。
でも、私に話してくれるヴァロンの清々しい表情にようやく安心出来て、涙腺が緩む。

っ……いけない、涙が。

晴れの日に相応しくないと思って涙を隠すように暫く俯いていると、ようやく歩みを止めた彼が再び口を開いた。

「よし、到着!」

その声と共に聞こえる波の音、そして潮の香り。
顔を上げると、そこは別荘の近くにある砂浜だった。
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