夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
覚えて、いない。
けど、私は"知ってる"。
『もう一度ここからやり直したい』という彼の言葉の意味も、彼の告白に自分がどう返すべきなのかも……。
「っ……あ、あのね。私ーー……」
口が自然と動き、ずっと前から決めていたように言葉が溢れる。
トクンットクンッ、と高鳴る鼓動が訴える。
今度こそ、ちゃんと伝えろ、とーー。
「私も、っ……ずっと一緒に居たい!
ずっと、ずっと……一緒にいたいのッ!!」
伝えたかった言葉を、やっと伝えられたーー。
"それ"は、まるで自分の事なのに自分じゃないような……。
ーーそう。
自分の中にもう一人の自分が居るような感覚で、心の中の私が幸せそうに微笑った。
そしたら、「やっと聞けた」って呟いた彼に思いっきり抱き締められる。
おかしい。今まで何度も抱き締められた事がある筈なのに、切ない。まるで初めて触れ合っているかのように、どうしていいのか分からなくて……。でも、やっと捕まえたかのようなこの愛おしさを、もう手放したくないと思った。