夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

「っ……明日からはしっかりと召使い用の制服を着て頂きますからね!
その男娼のような姿でこの別荘内を歩き回ったりしたら即アルバート様にご報告させて頂き、解雇させて頂きますから!」

アルバート様より任された大切な別荘。
こんな男に風紀を乱されては堪らない、と私は必死だった。
どういう訳か、すでにお嬢様が心を許してしまっているから尚更。私が目を光らせていなければ、まだお若いお嬢様は簡単に(ほだ)されてしまうかも知れない。

ここはビシッと言っておかなくては、と勢い良く詰め寄り注意を促すが、「ふーん」と言いながら首を傾けて微笑む男の姿を間近で直視出来なくて、私は顔を逸らした。
すると、その反応を見逃さない、とでも言うように男が言う。

「あんたさ、大人っぽいけどまだ初心(ウブ)なんだね?」

「っな……!」

男の言葉にカッとなると同時に、恋愛経験がたいしてない事を言い当てられ私は顔を赤くしながらキッと睨み付けた。
そんな私を見て、男はフッと吹き出して笑う。
< 27 / 338 >

この作品をシェア

pagetop