夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
けれど……。白無垢の私を気遣ってくれているのだろうが、さすがの彼でもお姫様抱っこをしての歩みはぎこちない。
「ふふっ。ねぇ、歩きにくくないの?」
「あ?歩きにくいよ。和装で……てか、草履で砂浜は来るもんじゃねぇな。
……っ、て……砂入ったし」
眉間にシワを寄せながら苦笑いするヴァロンを見て、私は笑いが堪え切れず笑ってしまった。
何だか心が物凄く軽い。
まるで心にあった悩みみたいなものが、羽根が生えて空に昇って行ったようだーー。
そんな風に感じて空を見上げると、二羽の白い鳥が仲良く寄り添いながら飛んでいた。
「可愛い〜番かな?」
「……やっと、一緒になれたんじゃない?俺達みたいに」
私の言葉に空を見上げて二羽の白い鳥を見つめながら、ヴァロンが言った。
その眼差しはとても綺麗で、向けられた鳥達に思わず嫉妬してしまいそうな位だった。
でも、すぐにこっちに視線を戻してヴァロンが微笑ってくれたから……。私も微笑った。