夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
「安心して?ルックスは好みだけど、俺処女は興味ないから」
「ッ〜〜?!」
「そんな訳で、あのお嬢様は見た目も経験も興味なし。心配しなくても喰ったりしねぇよ」
デリカシーがなさ過ぎて、信じられなさと呆れが混ざり合い「なっ、なっ」と言葉が出ない。ワナワナと肩を震わせる私を横目に、クククッとからかうように笑う本当本当に無礼な男。
……しかし。
翌日、召使いとしてアカリ様の傍に立つその姿は昨夜私が目にしたものとはまるで違った。
髪型も服装もキッチリと整え、からかうような笑みは爽やかに、無礼な態度は愛嬌のある無邪気さに。
あっという間に別荘内に解け込んでいった。
本当に同一人物ーー?
何度何度、そう心の中で問い掛けたか分からない。
あまりのギャップの不信感から、油断してはならない、と私はついつい護りたい一心でアカリ様への教育を厳しくしてしまったわ。
きっとアカリ様にとって、私は鬼のように恐ろしい存在だったに違いないと思う程に。