夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
「仕方ないではありませんかっ……!
私には、それくらいしか……ないのですっ。この容姿以外、っ……アラン様にご所望頂ける価値がないのです!」
オレに向かって叫ぶ女。
その口調に、怒っているのか、と思いきや……。顔を上げて視線を向けると、女は泣いていた。
何故、お前が泣く?
泣きたいのはこっちの方だ。
そう思い、またイラッとしかかるオレだった。
が、女の表情を見たら……トクンッと、胸打つ鼓動と共に、視線が逸らせなくなった。
女の表情から、オレを求めて誘っているのだ、と分かる。
だがそれは、オレが今まで見てきた……。身体を重ねる度に見てきた女達の表情とは明らかに違う。
「アカリ様の代わりに……なれるなんて思ってません!なりたい訳でもありませんっ。でも、っ……でも……ッ」
潤んでオレを見つめる瞳が、今まで目にしてきたどんな物よりも綺麗で……。不思議な衝動に駆られる。
手に、入れたくなる。手を、伸ばしたくなる。
「嫌なのですっ!アラン様が別の女性と過ごされるなんてっ……、嫌ッ……なんで……ーーッ」
ただ、触れたいと思った。
胸が熱いと感じた瞬間には、オレはすでに女を抱き寄せて、言葉を遮るように唇を奪っていた。