夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
***

しかし、翌朝ーー。

自室に付いている風呂でシャワー浴びながら、オレは昨晩の自分を思い返していた。
一晩経つと、何処を思い返しても昨夜は相当酔っていたとしか思えない。
寝ぼけてキスした事も、八つ当たりのような発言をした事も、身体を重ねた事も……。

今まで使用人に手を出した事がなかった訳じゃない。
だが、自分の醜態を曝け出して、しかもあんな処女(子娘)を相手にしていまうなんて……とんだ失態だ。

女は抱いた後そのまま眠ってしまい、他の使用人達の目に付かぬよう仕方なく自分のベッドに運び寝かせた。今もまだ夢の中だろう。
目が覚めたら何か欲しい物でも聞き出して機嫌を取り、昨夜の事は内密に、無かった事にして穏便に済ませたい。
そんな風に思いながら、オレはシャワーを止めて風呂を出た。


バスタオルで簡単に髪と身体を拭いて、バスローブを着ると女が眠っているベッドへと足を運ぶ。
相当疲れているのか、女はまだ眠っていた。その寝顔を見ると、昨夜見せた母親のような表情はなく、ただのあどけない少女に映る。

やはり、気のせいかーー。

その表情を見てフッと苦笑いを溢した時、「んっ……」と小さい声を発した女が軽く寝返りを打ち、ゆっくりと目を開けた。
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