夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
ここはやはり当初の作戦通り。
一晩オレの相手を務めた褒美を取らせて、この場を収めよう。
「……何か、欲しい物はあるか?」
「えっ?」
「一晩俺の相手を務めた褒美だ。何がいい」
「っ、……」
「金か?宝石か?ブランド品か?」
「……」
しかし。オレが言葉を投げかける度に、嬉しそうだった女から笑顔が消えた。
その様子が気になりつつも、これは自分が今まで相手にした女性に当たり前のようにしてきた行動。時にはこちらが言わずとも、向こうからあれこれ請求させる事もあった。それがオレにとっての男女の付き合いであり、間違っているなんて思わなかった。
だからオレには、この後女が言う言葉の意味をこの時は理解出来なかった。
「……何も、いりません」
「!……は?」
「何も頂かなくて、大丈夫です。
私の欲しい物は……私の手には、入らないものだと存じておりますから」
先程の笑顔とは明らかに違う微笑みを浮かべて、女は言った。
理解不能だ。
この女の欲しい物が、オレには与えられない程の物だと言うのか?
ある意味舐めているのか?と、目の前の女を生意気だと感じた。