夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

(2)アランside

***

同日の昼過ぎーー。
オレが訪れていたのは、アルバート様に代わって最近社長に就任した兄上の元。今日は兄上の会社の社長室で契約内容の見直しだ。


「うん、やっぱり前よりこっちのがいい。
いや〜助かったよ、アラン!本当にありがとうな!」

「いえ、そう言って頂けて良かったです」

記憶を失くしオドオドしながら自分の下で雑用をやっていた"マオ"の頃とは全く違い、素の容姿である白金の髪と瞳を隠す事もなく生き生きとして元気に仕事をする兄上の姿。
見ていて嬉しい、そしてまた対等に話し合えて一緒に仕事が出来るのは楽しい。

けれど、昨夜の一件で罪悪感を覚えているオレは上手く目を合わせられないでいた。

「……では、私はこれで」

「へ?待てよ、一緒に昼飯食おうぜ!
……あ、それともこの後なんか予定あったりするか?」

「い、いえ。そういう訳では……」

兄上の誘いが嬉しくない訳ではない。が、これ以上一緒に居て万が一言動から何かを悟られるのが怖かった。
仕事モードの時ならまだしも、昼休憩というこの気の抜けてしまいそうな時間だから尚更だ。今はなるべく一緒に居る時間を避けたい。

しかし、キッパリと断れずにいると兄上はとても嬉しそうな笑顔で言った。
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