夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
「美味そうだろ?
てか、絶対に美味いぜ!アカリの手作りだからな!」
「!っ……アカリ、様の?」
兄上の言葉とアカリ様の名前に、思わずドキッとした。
けれど兄上は、そんなオレには気付かずお弁当を幸せそうに眺めながら話を続けた。
「ああ!今日お前と打ち合わせがあるって話したらさ、「一緒に食べて」っていっぱい作ってくれたんだ」
「っ……」
「すげぇよな〜。あ!これ、玉子焼きに大葉とチーズが入ってて、美味いんだぜ〜!んで、こっちが……」
兄上の笑顔と、このお弁当を用意してくれたアカリ様の気持ちを察して胸が痛くなる。
二人共本当に美しい心の持ち主で、オレなんかを弟として、家族として受け入れてくれているのに……。それなのに、自分はなんてザマなのだろう?
美しい二人の心に触れて、改めて押し寄せてくる罪悪感。箸を持ったまま俯いて、もう合わせる顔がないと思った。
……でも、…………。
「アラン!ほらっ、あーん!」
「!っ……兄上?」
名前を呼ばれてビクッと顔を上げると、目の前に居るのは自分の箸で玉子焼きを掴んで差し出す、笑顔の兄上。