夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
「悩みがあるのか?と聞いたのは兄上でしょう?それなのに、教えてくれないんですか?」
「うっ、……」
「困っている可愛い弟を助けて下さいよ。ね?兄上」
「……お前、ずりぃな」
滅多に見せないしんみりとした表情、からのニコニコスマイルの合わせ技。弟思いの優しい兄の弱みを突いて、オレがなんとか答えを聞き出そうとすると、「仕方ねぇなー」ってため息混じりに微笑んだ兄上が箸を置いて席を立った。
しかし、心の中で「やった!」とガッツポーズするオレの元に、一旦自分の仕事机の方へ行き、引き出しから何かを持って戻ってきた兄上が差し出してきたのは……。
「ほい、これやるよ」
「?……香水、ですか?」
「ああ。ミネアにホテルとかで使うアメニティグッズのコラボ頼まれてさ。それ、試しに作ってみた商品の試供品なんだ。
それをその女の子に渡してみろ」
兄上に手渡されたのは、妖精を象った小瓶の香水。
これが、女の言葉の答え?あの女は何もいらないと言っておいて、実は香水が欲しかったのか?
と、難しい表情でガン見していると、また疑問に思うオレに勘づいたように兄上が補足の言葉を述べる。