夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
なんだ。
自信満々そうだったが、兄上も結局正しい答えなんて分かっていなかったんじゃないか。
オレは自分だけが女の気持ちを理解出来なかった訳ではないのだと安心して、今度兄上に会ったらこの結果をどう揶揄ってやろうかと企みながら内心微笑んでワインを一口。
そして、その香水に深い意味はないのだと女に伝えようとした。
……けれど、…………。
「兄上の会社から今度出す試供品だそうだ。オレが持ってても仕方ないから……」
「ーーあ、ありがとうございますっ」
「っ、は?」
「嬉しいです、とてもっ……。大切に、致しますっ!」
「!ッーー……」
頭を下げていた女が顔を上げた瞬間、その表情を見たオレは目が逸らせなくなった。
女の周りが、何だかキラキラと輝いて見える?
いや、周りだけじゃない。
女の潤んだ瞳、ほのかに桃色に染まった頬、弾んだ声と共に口角の上がった唇……。女の全てが、美しく映った。
するとオレの中に湧き上がるのは、昨夜と同じ"欲しい"と言う感情。