夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
『アラン。私の可愛いアラン。
貴方は私の宝物よ。ずっと側にいてねーー』
そう言いながら、自ら命を絶ってオレを独りにした母親。
あの日から、"ずっと"なんてない。求める事も、求められる事にも、期待する事はやめた。
……だから、平気な筈なんだ。
それなのに、モヤモヤしたり、胸が痛んだりするのは何故なんだーー?
「私が嬉しかったのは、アラン様が下さった物だからです」
心の中で問い掛けたオレに、女が言った。
その言葉に視線を合わせると、女はそっとオレの頬に手を触れて言葉を続ける。
「アラン様が下さる物ならば、私は何でも嬉しいんです」
「っ……」
「こうして今宵も呼んで下さった事も、嬉しいです。
……約束を守って下さり、ありがとうございます」
ポワッと、暗闇を照らす光のように、女が微笑った。
その笑顔は、曇り切った心のオレにはさっきより一層美しく映って……。でも、決して眩し過ぎる事のないその輝きは、今のオレの心に丁度良い光をくれる。
すると真っさらになったオレの心の中に、兄上の言っていた答えが見つかった気がした。