夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

(3)アランside


女との関係が始まって、もうすぐ二ヶ月が経とうとしていた。
それなりに仕事は忙しかったが、夜に息抜きが出来ているからか何事も調子良く、上手く行っていた。

女は身体を重ねる度に成長し、オレ好みの女へと徐々に変わっていく。オレ好みの下着を身につけ、オレが触れれば教えた通りに反応する敏感な身体。
これまで色んな女と身体を重ねてきたが、これ程までに自分色に染めていく事が快感だとは知らなかった。

帰宅したら今夜は思う存分可愛がってやろうーー。

3日前から出張で自宅へは帰れていない。
あの女もきっと身体を疼かせて待っている事だろう。

心の中ではそんな事を考えているなんてつゆ知らず、取り引き先でもあるこの宝石店の店主は店内を歩いていたオレに声を掛けてくる。

「アラン様、如何でしょうか?何かお気に召す物はございますか?」

「ん?……ああ、そうだな」

仕事の話が終わり、せっかく訪れたから、と何か一つ土産を買って帰ろうと見ていたのだが、出張中夜の息抜きをしていなかったからか、すっかり今夜の事を考えてしまっていた。
腕時計でも、と考えていたが、いつの間にかオレが来ていたのは指輪のショーケース前。すると、店主が声を弾ませて言った。
< 304 / 338 >

この作品をシェア

pagetop