夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
「もしや……。アラン様も、そろそろご結婚を考えておいででは?」
「!……は?」
「それなら、こちらとか如何でしょうか?」
「お、おいっ……!」
止める間もなく目の前にダイヤモンドが装飾された指輪がいくつか並べられ、店主はウキウキと指輪について説明してくる。
ーー全く、こんな物必要ないんだがな。
しかし、自分も今年で34歳になる。色んな会社の社長や会長から自分の娘や孫と見合いをする気はないか?と、いくつもの縁談話が来ているのは事実。
それに、兄上がアルバート様の会社を継ぎ、兄上の息子ヒカルがそのまま跡継ぎになる以上、自分がいつか結婚し自分の会社の跡継ぎを設けなくてはならない事も分かっていた。
だが、オレは正直怖い。
オレは希血ではないが、代々当主に受け継がれてきた呪い。
真に愛する者とは結ばれないーー。
だから昔、相手は誰でもいいと思っていた。
愛さなくて良い。愛されなくて良い。
むしろ結婚などせず、子だけを産んでくれてそれ以外互いに干渉し合わない関係をオレは望んでいた。
しかも。そもそも、自分は子供を愛する事なんて出来るのだろうかーー?