夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
ーーうん。そうだ、そうしよう!
そもそもオレが使用人との約束で、この二ヶ月近く一人の女しか抱いていない事自体が奇跡に近かった。
よく今日まで約束を守った、と自分を褒めてやりたいぐらいで、オレは部屋を出ると二階の階段上から下の階で働く使用人達を見つめ、今夜の相手を物色する。
久々に胸の大きさで選ぶのもいいし。
たまには勝ち気な、気の強そうな女もいい。
黒髪ではなく、金髪か茶髪の……、……。
ーーだが。
見れば見る程、選ぼうとすればする程……。あんなに"女を抱きたい"と疼いていた胸がシンッとなっていった。
どの女も、同じに見える。そして直感で感じる。
この女達を抱いても、今の自分が決して満たされる事はないと……。
オレはその場を後にして、自分が今1番顔が見たいと思っている女の部屋に足を進めた。