夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
「っ……全く、危ないな」
すぐに女をベッドに戻し、その身から手を放した。
掛け布団をかけ直してやりながら顔を見ると、うっすら瞼を開けていた女が微笑む。
「嬉しい……」
「は?」
「会いたいって思ってたから……夢の中で、お会い出来ましたね」
「!……っ」
夢だと、勘違いしているのかっ……。
後ろめたいような、罪悪感によく似た感情でいっぱいのオレに追い討ちをかけるかのように、女の優しい笑顔と素直な言葉が胸に突き刺さる。
けれど。ものすごく居心地が悪くて、これ以上ここに居てはいけない気がするのに、上手く身体が動かない。
そんなオレのシャツの袖をキュッと掴むと、女が言った。
「おかえりなさいませ。……三日間、寂しかったです」
「っ……」
夢だと思っているからか、普段ならば絶対にそんな事を言う筈のない女の口から漏れる言葉。さすがのオレでも、その言葉こそが女の本音だと分かる。
……分かる。
だからこそ、これ以上を聞くのが……。
「ーー好きです」
「!っ……」
「愛しております……、アラン様。……、……」
……。
そう言うと、女の手はオレから離れて……再び静かな寝息を立て始めた。
オレの心に、ズクンッと疼く何かを残して……、……。