夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
「っーー!!
何でオレとあの女の関係を知ってるんですか?!」
兄上は確かにハッキリ、"スズカ"とあの女の名を口にした。
いくら兄上の勘が鋭いと言っても、自分の中では相手を特定されるような発言をこれまでした覚えがなかったオレは驚きを隠せない。
すると、そんなオレを見てふうっと溜め息を吐くと、兄上は口調を落ち着いたものに戻して言った。
「言っとくけど、スズカが俺に言った訳じゃねぇからな?
相談に乗って暫くしてから、お前の邸に遊びに行っただろ?あん時に、俺がお前にやった香水の香りがスズカからしたんだよ」
!っ……あの時、か。
そう言えば、と以前兄上が自分の邸に遊びに来た時の事を思い出す。
兄上は屈託なく、アカリ様と同様使用人と会話をするから特に気には止めなかったが……。あの時確かにあの女も、あの場に居た。
と、言う事は……。
もう1か月以上前から、自分の気持ちは兄上にバレていたのだ、とオレは悟った。