夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

「安心したよ」

「!……え?」

「その様子ならスズカの事、本気なんだな?」

「っ……」

気不味くなったオレの気持ちを吹き飛ばすかのように、兄上は微笑う。
その笑顔は本当に嬉しそうで、そして優しい瞳。茶化している訳じゃなく、本当に、本気でオレの恋を喜び、見守ってくれていたのだと感じた。
すると、そんな兄上に解かされて、素直な気持ちがオレの口から漏れる。

「っ……どうすればいいのか、分からない」

「ん?」

「オレ、自信がないんだ……」

オレは女への気持ちを自覚した際に感じた気持ちを、兄上に話した。戸惑い、恐怖、不安……。
兄上はオレが話している間、相槌も打たずに黙って聞いていた。兄上が口を開いたのは、オレの気持ちを全部聞いた後……。

「ーー俺も一緒だよ」

「!……、え?」

「俺も、アカリへの気持ちを自覚した瞬間(とき)お前と同じ気持ちだった」

「っ、嘘だ……」

思わず漏れる疑いの言葉。兄上の言葉は、オレからしたら意外でしかなかった。

だって、オレの目から見たら兄上は完璧で、アカリ様も子供も大切にして、幸せにして……。暖かい、信頼し合っている、理想的な家庭を築いてるじゃないかーー。

そんな風に思っていると、兄上はオレの疑いを解くようにゆっくりと話し始めた。
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