夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
「……、アラン様。あのっ……」
「ーー行くなッ!!」
彼女を失いたくないーー!!
そう思ったオレは彼女に駆け寄ると、腕の中に閉じ込めて離さないよう力一杯に抱き締める。
いつもとは違う。ただ抱き締めているだけ。
それなのに、素肌と素肌で触れ合っている時よりもその温もりが一層愛おしく、離したくないと感じる。
手放すなんて、考えられない。
「っ……。好きだ」
「……え?」
……そしたら。何度もシュミレーションした言動なんてぶっ飛んで、オレの口から自然と言葉が漏れた。
止まらない、感情。
「週刊誌を見たのなら、あれは全くのデマだ!どちらも仕事の流れで、それを撮られただけだっ……!」
「……」
「っ……お前だけだッ」
腕の中で黙ったままの彼女に必死で語りかける。
計算も計画も全くない。真っさらな、今の自分の気持ちを……。
「これからもずっと、傍に居て欲しいのはお前だけだッ……!」
ーーっ、違う。
"女"でも、"お前"でもない。こいつは……。
「ーースズカ」
「っ……!」
「ずっとオレの傍に居てくれっ……スズカ」
スズカーー。
気持ちに気付いてからやっとその名前が口から出た瞬間、腕の中の彼女がビクッと反応した。