夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
「っ、やべぇ……!なんだよコレ、天使かっ?!」
無事に女の子を出産して一ヶ月。
自宅にお祝いに来てくれたヴァロンに赤ちゃんを抱かせてあげると、彼はそう言いながら自分の子供でもないのに感動と嬉しさで打ち震えている様子。
そんなヴァロンに、
「クスッ、可愛くて当然でしょ?わたくしの娘なんだから」
って、少し可愛くない事を言ってみる。
普通ならばその言葉に「自分で言うか〜」とか、「自意識過剰だな」って返されるのだろう。
でも、彼はやっぱり悪く受け取らない。
「ああ、そうだな!ミネアにそっくりで可愛い!」
「!っ……」
「赤茶色の髪に瞳だもんな!
良かったな〜ママに似て美人になるぞ〜!」
っ〜〜!!
もうっ、全く……何処まで良い男なのよ。
ヴァロンの笑顔と言葉に、胸をドキドキさせずにはいられない。
彼は、"マオ様"からヴァロンに戻っても……。元の生活に戻っても、アカリさんに事情を話して、頻繁に連絡をくれたり、時々会いに来てくれる。全く、本当にお人好し過ぎ。
アカリさんもアカリさんよ。使用人と娘がいるから実質一人暮らし、って訳じゃないけれど、旦那が別の女の家に行くのを許すなんて……夫婦揃って馬鹿なのかしら?
なんて、そう思いながらもその優しさに私は心から感謝していた。