夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

それをヴァロンは直して、まるで自分の物のように大切に、とても美しい瞳で見つめていた。

だから……。
たとえ束の間であっても、と二人の時間を許したくなってしまった。

「明日はせっかくのクリスマスパーティーなのです。
プレゼントくらい、自分の手で渡しなさい」

そう告げた自分が間違っているとは、全く思わなかった。

そしてそれはいつしか私だけではなく、別荘内のみんなの想いになっていたわ。
アカリ様とヴァロンが二人で居られる事を、全員が祝福していた。

私達を味方にして、更にアルバート様まで納得させてしまって……。本当にたいした男。


長期任務から戻ってきて、アカリ様とヒナタ様を迎えに来た際に久々にその姿を目にした時は見違えたわ。
年下の私が言うのも変な言い方だけど、"成長したわね"って感じかしら?

第一印象の"アカリ様の最悪の召使い"から、"アカリ様の最高の夫"というパートナーに変わっていた。

身分差も、年の差も、たくさんの難題も乗り越えた先にある幸せを見せてもらったわ。
私が自分には絶対に出来ないと諦めていた夢を、良い意味で裏切ってくれたわね?


……そうね。
アカリ様の事を心から幸せに出来るのは、絶対にヴァロンしかいないわ。

……
…………。
< 34 / 338 >

この作品をシェア

pagetop