夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
「ふぅ、これでひと段落だ。
マオ君、新年の気分も味わえないままずっと付き合わせてすまなかったね。疲れただろう?」
「いえ、これくらい平気です。
何か僕に出来る事があれば何でもお申し付け下さい」
1月の半ばーー。
いつの間にか、新しい年になっていた。
でも新年だからと言って浸っている暇なんて全くなくて、僕はずっとハンク様に付いて仕事に励んでいた。
婿として、暫く働けないミネアさんの代わりに少しでも早くなれるように……。
アランの下で働くのを辞めて、会社も住む場所も移った。去年の12月、ミネアさんの妊娠をきっかけに変わり始めた僕の生活は、これからますます変わっていく事だろう。
先方の都合で急遽今日契約の話をする事になったのはかなり焦ったけど、上手くいって本当に良かった。
「うんうん、頼もしいな。
まるで以前のマオ君に戻ったみたいで嬉しいよ。これからもよろしく頼むね」
「っ……はい」
片付けをしている僕の肩をポンポンッと叩くと、上機嫌のハンク様は応接間を出て行った。
扉がパタンッと閉まりようやく一人きりになれた空間にホッとして、僕はため息を吐きながら叩かれた肩に触れた。