夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
ミネアさんの妊娠は、僕にとって全く身に覚えのない事だった。
避妊がどうとか、周期が合わないとか、そういう問題ではなくて……。
だって僕は、彼女を抱いた事なんて一度もないのだから……。
ならば、何故?
医師がそう診断したのだから、間違いなんて事はおそらくないだろう。
でも、それなら……ミネアさんのお腹の子供の父親は一体誰?
……考えても考えても、僕には全く分からなくて。
ミネアさんに聞こうにも、なかなか話せるタイミングがなくて……数日が経った。
「騒がしくしてすまなかったね。
ミネアと二人きりで喜びを分かち合いたいだろう?医師に許可をもらってあるから、今夜は泊まってやっておくれ」
親戚の人や仕事で親しい人がミネアさんの懐妊の噂を聞きつけてお祝いに訪れる日が続く中。気を遣ってくれたハンク様の配慮で、ようやく二人きりになる機会がやってきた。
でも、何から話せばいいのか正直分からないままハンク様達が帰られて……。夜、僕とミネアさんは個室の病室に二人きりになった。