夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

ミネアさんには僕以外に好きな人がいて、赤ちゃんはその人との子供で……。きっと幸せになれる。
僕なんか、いなくてもいいんじゃないか?……って。

今なら彼女と、何も気にせず別れる事が出来るんじゃ……ないか、って。


ーーでも、違った。
ミネアさんは僕の気を引きたくて、こうなった。

『抱いてほしい』
そう言われて、でも……上手く出来なくて。
それ以来、そういう雰囲気になると困っている僕を見て、彼女は強く要求出来なかったんだ。

『子供がほしい』
同年代の周りの女性が母親になっていく姿を羨ましいとは言えず、耐えて耐えて……。

『愛してほしい』
彼女にとって、僕から伝わってくる愛が足りなさすぎて、不安で、寂しくて……。
身体だけでも、ひと時でも……男性から貰える愛が、欲しかったんだ。

幼い頃から抱え続けてきた孤独も、限界で……。
たった1人でいいから、世界中の誰よりも自分を愛してくれる人が……ほしかったんだ。


全ての引き金は、僕。
僕がミネアさんをここまで追い込んでしまったんだ。
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