夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
夢の配達人の責任者ではなく父の補佐をしていた時から、仕事を終えて、就寝前に自宅の自室で新聞を読むのが私の楽しみだった。
もちろん、視力がほとんどない今の私には文章が点字で表された特別な新聞。昔のように写真付きの記事を楽しむ事は出来ないが、私は今でも彼の活躍を楽しみにしている。
「……また、大きな仕事を一つ成功させたんですね」
彼が例えどんな名前で、どんな立場であっても、私にとって何一つ変わらない。
ヴァロンーー。
君の記事を読んで胸を弾ませていると、今でもただ任務に行っているだけなのではないか?と思う。
任務中は仕事に没頭し過ぎて、通信機があるにも関わらずヴァロンから連絡してくる事なんて滅多になくて……。いつもいきなり隠れ家の私の仕事場の扉がバンッて開いて、「シュウ、帰ったぞー!」ってズカズカと入って来るんだ。
だから、思わずにはいられないんだ。
またいつか、そんな日が訪れる事を……。