夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
ユイちゃんだけじゃない。
アカリさんも、私も、レイ達も……。君の事が大好きな人達は、君が幸せになってくれないと悲しいんです。
だから、…………。
そこまで書いて、私の手は止まった。
違うのだ。
本当はこんな事を言いたい訳ではない。
私はもどかしくて、悔しいのだ。何も出来ない自分が……。
今も、自らの運命に立ち向かおうとしている親友に、アドバイスも、側に行ってやる事も出来ない。
1番の相談役ーー。
ヴァロンにとって、自分はずっとそんな存在でありたかったのに何も出来ない。
「リディア、許して下さい……」
こんな不甲斐ない自分を、きっとリディアは怒っているだろう。
今私に出来るのは、こうして日記に記しながらヴァロンに語り掛け、彼を忘れないで居る事。
そして、夜が明けたら最高責任者として、彼と共にあった証である夢の配達人を守る事だけだった。