夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
正直、アカリ様との結婚の報告で反応が気になったのは、シャルマ様よりも兄上。
しかし兄上は、表情を変える事もなく淡々としていた。
そして、シャルマ様への受け答えも……。
「このままではアランの結婚式の方が先になってしまうぞ?
お前も早くミネア様と式を挙げ、世間にその存在を知らしめ確かなものにしろ」
「……シャルマ様。
その件ですが、今はミネア様の体調が最優先。式は子が無事に生まれてからでも、私はいいと思っております」
兄上は以前の兄上とは全く違う。
ビクビクオドオドする事もなく、真っ直ぐにシャルマ様を見返していた。
いや、それどころか……。
「それに、式を挙げるのは私の存在を知らしめる為に行うのではありません。
私はミネア様の夫して、彼女が築く未来を支えていける存在で在りたい」
それはまるで、シャルマ様に対しての宣戦布告のように感じる。
「どうか、ミネア様の事は全て私に一存して下さい。
……よろしくお願いします」
これ以上踏み込まれないように、"口を出すな"とも取れる兄上の言葉に、その場の空気が張り詰めていくのを感じた。