夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
***
「奥様がご到着されました!」
到着予定のほぼ14時ピッタリに、奥方様はこのお邸にやって来た。
使用人長の言葉に、通り道の左右に立ってお出迎えをする私達は「いらっしゃいませ!」と声を揃えて深く頭を下げる。
一体どんな方だろう?
きっとみんなそう思っていたが、お声がかかるまでは顔を上げてはならない。
ドキドキしながら待っていると、私の目の前を奥様が通り過ぎる。
すると、その瞬間にフワッと香る甘い匂い。
香水?
いや、違う。これは、優しいミルクのような……。
そう、甘いお菓子の匂いだ。
その匂いを嗅いだら、なんだか少し緊張が和らいだ気がした。
そして、これが奥様の香りなのだと思ったら、何故かとてもお顔を見てみたくなった。
「スズカ、こちらへおいでなさい」
「はいっ」
使用人長に呼ばれて、私は顔を少し伏せたまま奥方様の元へ足を進める。
「奥様、この者が本日より専属でお世話を致します。何かございましたら遠慮なくお申し付け下さい。
……スズカ、ご挨拶を」
「はい。
ようこそいらっしゃいました、奥様。スズカと申します。至らぬ面があると思いますが、全力でお仕え致します。どうぞ、よろしくお願い致します」
「あ、そんな……固くならないで下さい。
はじめまして、アカリと申します。どうぞ、顔を上げて下さい」
私が挨拶をすると、奥様はその香りと同じくらい優しい声で返事を返してくれた。
「奥様がご到着されました!」
到着予定のほぼ14時ピッタリに、奥方様はこのお邸にやって来た。
使用人長の言葉に、通り道の左右に立ってお出迎えをする私達は「いらっしゃいませ!」と声を揃えて深く頭を下げる。
一体どんな方だろう?
きっとみんなそう思っていたが、お声がかかるまでは顔を上げてはならない。
ドキドキしながら待っていると、私の目の前を奥様が通り過ぎる。
すると、その瞬間にフワッと香る甘い匂い。
香水?
いや、違う。これは、優しいミルクのような……。
そう、甘いお菓子の匂いだ。
その匂いを嗅いだら、なんだか少し緊張が和らいだ気がした。
そして、これが奥様の香りなのだと思ったら、何故かとてもお顔を見てみたくなった。
「スズカ、こちらへおいでなさい」
「はいっ」
使用人長に呼ばれて、私は顔を少し伏せたまま奥方様の元へ足を進める。
「奥様、この者が本日より専属でお世話を致します。何かございましたら遠慮なくお申し付け下さい。
……スズカ、ご挨拶を」
「はい。
ようこそいらっしゃいました、奥様。スズカと申します。至らぬ面があると思いますが、全力でお仕え致します。どうぞ、よろしくお願い致します」
「あ、そんな……固くならないで下さい。
はじめまして、アカリと申します。どうぞ、顔を上げて下さい」
私が挨拶をすると、奥様はその香りと同じくらい優しい声で返事を返してくれた。