夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
顔を見なくても、雰囲気で分かった。
決して派手ではなく、道端に咲く一輪の花のような……。けど、地味でもない。
その美しさに、見る人は笑顔になり、きっと優しい瞳で見つめてしまうーー……。
その瞬間、私の頭の中にはマオ様が視線の先に見ている人物が想像出来た。
ゆっくりと顔を上げた先に映る、奥様。
ーーえっ?
胸がトクンッと暖かく脈を打つ。
目が合うと、恐れながらも奥様もきっと私と同じ気持ちであろう目を見開いていた。
黒髪に、黒い瞳。
私と奥様は、容姿がとてもよく似ていたのだ。