夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
2月上旬ーー。
私の新しい生活が始まる。
港街の家を離れて、子供達を預けて、私は今日からアラン様の婚約者として彼の邸に住む事なった。
アラン様はどうしても外せない仕事あるそうで、迎えの車に乗って一人でやって来た新しい家。
車から降りて邸の外観を見ると、何故か不思議とホッとした。
深い緑色の壁に、白い屋根の二階建てのお邸。
ここは元々アラン様のお父様の持ち物だったんだっけ?
だからかな?
アラン様のイメージとは少し違って、柔らかい感じがするのは……。
大丈夫、上手くやっていけるわ。
外で出迎えてくれた使用人長さんに案内されて、私は新しい我が家に足を踏み入れた。
「奥様がご到着されました!」
奥様?!
いきなりそう呼ばれて内心驚いたけれど、そうよね。"ご婚約者様"では一緒に暮らすのになんだかよそよそしいし、どのみち来月には式を挙げて"妻"なるのだから……。と、私は受け入れる事にした。
しかし、「いらっしゃいませ!」と、迎えてくれる使用人達の真ん中ゆっくり進むのにはやはり慣れない。
17歳の時。お祖父様の別荘に迎えられた時と同じように、なんだか恥ずかしい気持ちだ。