夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

なんとか早く馴染んで、この特別扱いのような対応を和らげたい。そして出来れば奥様ではなく、アカリと呼んでほしいと思った。

仲良くなれそうな、親しみやすそうな子はいないかな?と、使用人達を見渡していると、使用人長さんが一人の女性を私の前に呼んだ。

「奥様、この者が本日より専属でお世話を致します。何かございましたら遠慮なくお申し付け下さい。
……スズカ、ご挨拶を」

「はい。
ようこそいらっしゃいました、奥様。スズカと申します。至らぬ面があると思いますが、全力でお仕え致します。どうぞ、よろしくお願い致します」

スズカーー。
聞いた瞬間、素敵な名前だと思った。
そして私に自己紹介するその声、その言葉から彼女の優しさが伝わってくるような気がして……。私はなんだか彼女に、初めて会った気がしなかった。

「あ、そんな……固くならないで下さい。
はじめまして、アカリと申します。どうぞ、顔を上げて下さい」

私がそう声を掛けると、スズカが伏せていた顔をゆっくりと上げる。
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