夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
***

「こちらが奥様のお部屋になります」

「!……わぁ〜、可愛い」

スズカに案内されて部屋に入ると、私の口から思わず"可愛い"と言葉が漏れた。
薄いラベンダー色のカーテンに、木の木目がそのままに生かされたタンスや机、ベッドなどの家具。棚の上にはさり気なく、道端やお庭に自然に咲いて摘んだような野花が飾られていた。
てっきりいかにも高級そうな家具に囲まれた、堅苦しい部屋が用意されていると思ったのに……。

「これ、スズカが選んで用意してくれたの?」

「は、はい」

「そうよね!アラン様が用意したなら、絶対にこんな可愛いお部屋になる筈ないもの」

そう言って微笑むと、スズカは私を見てとても不思議そうな表情(かお)をしていた。
その反応に、しまった、いきなり馴れ馴れしく話かけ過ぎたかな?と思いつつ、最初が肝心だと思った私は頑張って攻める事にする。

「お、お気に召して頂けて幸いです。
他に何か必要なものがありましたら、何でもお申し付け下さい」

「!……本当?なら、一つお願いがあります」

スズカのその言葉に、私は"今だ!"とばかりに頼むことにした。
お願いする事は、もちろん……。
< 78 / 338 >

この作品をシェア

pagetop