夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
「私の事は"奥様"じゃなくて、"アカリ"と呼んでもらえませんか?」
「!……え?」
「名前で呼んでほしいんです。
私も貴女をスズカと呼びます。あと出来れば他のみんなの名前も教えてほしいな?」
「……」
……あ、あれ?
何かおかしい事を言ってしまったかな?
私のお願いに、スズカはきょとんとした表情をしている。
「……あの、スズカ?」
「!……あ、申し訳ありません。
その件は一度使用人長に確認して参ります。暫くお待ち下さいませ!」
私の問い掛けにハッとするとスズカはそう答えて、私にぺこりと頭を下げると慌てて部屋を出て行ってしまった。
「……。仲良し作戦、失敗かな?」
私の事を名前で呼ぶ事を、わざわざ上の了解を得なければ出来ないと言う事なのだろうか?
どうやらこの邸は、ローザが取り仕切ってあの別荘よりもお堅い場所らしい。
「……なら、次の作戦!」
けど、めげたりしない。
ここで生きると決めたのだから、私は私らしく在りたいと思っていた。