夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
「みんなに食べてほしくて作ってきたんだ!みんなで、一緒にお茶しよ〜!」
「っ……」
顔を上げた私の瞳に映るのは、そのお言葉が嘘偽りないと感じる笑顔。
私達を味方に付けようという下心など全く感じない。ただ純粋に仲良くなりたいと思って下さっているのだ、と感じた。
しかし、使用人長は当然まだ奥様の真意を疑っている。なんとか納得して頂こうと、やんわりと対応し始めた。
「奥様、申し訳ありませんがこのお邸では我々にお茶の時間などはございません」
「!……え?そう、なんですか?」
「はい、我々はご主人様が組まれたスケジュール通り動く事が使命。どうぞお分かり下さい」
残念だけど、確かに使用人長の言う通りなのだ。
アラン様の留守中とは言え、1日のスケジュールを乱しそれが伝わってしまえば我々は罰を受け、最悪の場合解雇。
奥様の気持ちはとても嬉しいけれど、主人がアラン様である以上あの方が決めたルールに従わなければ。
奥様だって初対面でないのだから、アラン様がどんな方なのかご存知の筈。きっと納得して下さると思っていた。けれど……。