夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
「使用人長、これはどういう事だ?」
「っ……も、申し訳ありませんっ!」
「聞こえなかったのか?どういう事だ、と聞いているのだ」
「っ……」
咄嗟に謝り頭を下げる使用人長だったが、アラン様に正面に立たれ、ビリッとする声で問い掛けられて、言葉を詰まらせた。
当然だ。アラン様にあんな風に迫られて、普通に対処出来る人間などいない。
誰もその場から動く事も、言葉を発する事も出来ない状況だった。
が、頭の中でこれだけはハッキリとみんな思っていた。
もうダメだ、とーー……。
「みんなでお茶会してたのよ?それがどうかしたの?」
でも、その瞬間。
優しい無垢な声が、ピリッとしていた空気をかき消すように流れ込んできた。まるで寒い冬の中に、暖かい春風が吹き込んでくるみたいに、とても自然に……。
その言葉に「なに?」とばかりにアラン様が目を向けると、その視線に怯む事もなく、奥様は自ら歩み寄り真っ直ぐと見上げた。