夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
「……そうだな。分かった。おい、使用人長!」
「使用人長じゃなくて、エルナよ?」
奥様の鋭い指摘にもアラン様は逆らう事もなく、咳払いをすると言い直す。
「エルナ、私は留守にする事が多くこの邸の事を把握しきれん。
今後はこの邸の管理をアカリ様に一任する。どうか、彼女が住みやすいよう努めてやってくれ」
「っ……は、はい!かしこまりましたっ」
「他の者も、よろしく頼む」
「っ……か、かしこまりました!」
それはアラン様から初めて出された、命令ではなくお願い。
その言葉が表面上ではなく心からのものなのだと、アカリ様を優しい見つめるアラン様の瞳が告げていた。