夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
「マオ君、今日も遅くまでお疲れ様だったね」
「いえ、上手くいって良かったです」
2月中旬の深夜。
取り引き先との契約を済ませた僕は、ハンク様の迎えの車で一緒に自宅まで送ってもらう事になった。
後部座席に義父であるハンク様と隣り同士。
ハンク様と一緒に仕事をして共に過ごす時間が多くなったと言っても、やっぱりその存在は未だに緊張するもので……。仕事が終わったのにまだ終わっていないような、そんな感じがする車内だった。
それに……。
「ミネアの、調子はどうだ?」
その質問に僕は"またきたか"と思いながらも、顔には出さず笑顔で対応する。
「日によって、って感じです。
でも、お医者様は順調だって言って下さっていますし。お腹も目立ってきて、時々胎動も……」
「ーー医者の話では、子供は女だそうだな」
「っ……。はい」
溜め息混じりに話を途中で遮られて、僕は答えながら見えないように拳をギュッと握り締めた。