夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
聞きたくない話が、また始まる。
僕がそう思っている事を知ってか知らずか、ハンク様はいつものように語り始めた。
「いくら優秀でも、女はやはりダメだ。
後継ぎと仕事のパートナーはやはり男の方が良い。マオ君、早く次の子供を作りなさい。優秀な男の子をな」
「っ……」
何故、そんな事を言えるんですかーー?
喉まで出かかった言葉を、僕は必死で飲み込んだ。
ハンク様は、子供が出来た事で体調を崩し仕事が出来なくなったミネアさんに対して態度が変わった。
以前はあんなに大事にしているように見えた。ミネアさんを溺愛しているように、見えたのに……。
僕はハンク様と共にする内に、その本心を知った。
そして改めて気付いたんだ。
ミネアさんがどれ程の孤独を抱えて、必死に必死に、自分が存在出来る場所を保ってきたのか……。
僕の前で見せてくれていたあの少女のような笑顔が、どれ程貴重で、大切にしなければいけなかったものなのかを……。