ただ隣にいて欲しい
辺りはすっかり暗くなり
月と星が顔を覗かせてきた。
しゅうは静かな大人っぽい見た目と裏腹に
すごく優しくて面白い人だった。
「あのさ」
急に真面目な口調になるしゅう。
「どうしたの?」
照れたように頭を掻き、衝撃のことを口にした。
「俺と付き合わない?」
「えっ。」
今日初めて話した人と?
「あ、俺美雪のこと一目ぼれして、今日話してみて内面も好きになった」
「あの、私に一目ぼれする要素あるの?」
「うん。顔だけじゃなくて雰囲気もいいなって」
どんなにスタイルのよくて、イケメンで、
優しくて面白い人でも答えは決まってる。
「ごめんね、私付き合えない」
少し驚きつつも内心分かっていたように、
やっぱりなと呟き、
「理由聞いてもいい?俺諦めきれなくて」
「えっと、私忘れられない人がいるの」
「えっどういうこと?」
しゅうには言ってもいいかな。
虹実にも伝えてあるし。
「長くなるかもだけど」
私は思い出すように言う。
まだほんの3か月前の話だというのに。