ただ隣にいて欲しい
休日だから8:00に起きる
それでもいつもの休日より早起きだ
今日は下準備が多い
手際良く終わらせなくては
化粧はいつものように、
ブラウンをメインに大人っぽく
髪の毛は緩く巻いてお団子にする
春は風が強い
下ろしていると乱れる可能性があるからだ
服は前日決めていたものを着る
背中が大胆に開いて、7分丈のトップスに
脚長効果が期待できるジーパンのスキニー
トップスにはリボンがついていて
シンプルだがそこに華やかさがある
靴は黒のパンプスに小さめのポシェットを持ち
全身が映る鏡の前に立つ
クルッとまわり、最終確認
今の時刻は9:00
ちょうど5分前に着きそうだ
地下鉄のホームはいつも向かい風が強い
やはり髪を結んで正解だった
ふと、私のずっと会いたかった人がいたような気がした
いやいや、気のせいだ
いくら近所に住んでいたって会う確率は低い
でも、物凄く似ている
絶対そうだ
ずっと会いたかった人、話したかった人
と思っていてもいざ現実になると何もできない
携帯をいじるふりをしながら控えめに見る
その時、私と凌空の視線が絡んだ
すぐにそらしたがきっと凌空も気付いている
「久しぶりだね」
いつのまにこっちに来たのか話しかけてくる
ずっと聞きたかった声、愛おしい
低い声は私の耳をくすぐる
安心するような、安定した音
「確かに」
お互い関係が関係だったため近状で盛り上がる
凌空もハチ公で友達と待ち合わせをする
という事で一緒に行くことにした
「可愛くなったね」
さらっと嬉しいことを言ってくる
ずるいところは変わらない
「変わらないよ」
私の頬はきっと紅い
やっぱ好き
ハチ公ではしゅうがいた
私は余裕をもったはずだがぴったりに着いた
高身長でスタイルのいいしゅうはよく目立つ
整った顔立ちも遠くからでも分かる
「あれが彼氏?」
「一応ね」
本当は貴方が好き、何て言えない
「お似合いじゃん」
嬉しいような悲しい一言
「ありがと」
素直に喜べない自分が嫌だな
「久しぶりに話せてよかった、じゃあね」
私はそう言いしゅうの元へ行く
今更、好きなんて言えない
だって私はしゅうの彼女なんだもん