ただ隣にいて欲しい


入学式は広い体育館で行われた。

理事長の話がとても長い。

ウトウトしないように必死で内容なんて入ってこない。

隣の虹実ちゃんは爆睡してる。

真面目そうなのに意外だなと思いつつ、

眠いのは自分だけじゃないと親近感を感じ、

私も少しだけ眠ることにした。



「さっき寝てたでしょ?」

教室に戻って来てから聞かれた。

「やっぱばれちゃったか」

「うん、隣見たら美雪ちゃんがっつり寝てて、私安心しちゃった」

ニコニコと屈託な笑顔で笑う。

反則だよ、可愛すぎる、と内心キュンキュンくる。

それから始めて出会ったにも関わらず、

すごく仲が深まった。

お互いを支えあう生涯の親友になる、と言うことは

まだまだ2人は気づかない。

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