Karma
「権利? 害虫を駆除するのに誰の許可がいるの?」
喰喰は再び美花に手をかざす。
「ぐ…っ!!」
今度は鉄格子を破る勢いで、美花の体がねじ込まれていく。
腕も、足も……おかしな方向に曲がりだす。
やがて鉄格子が悲鳴のような音をたて折れ曲がると、美花の体は橋から下へと落ちていく。
「美花!!」
ようやく拘束から抜け出した私が、美花のもとへ駆け寄る。美花をつかもうと、手を限界まで伸ばす。
ダメだ! 届かない!
橋の下には、電車のライトがのびる。
最後に私が見たのは、涙を流し、病院の方を見つめる美花だった。