Karma
「ほら、どうして?」
ずっと気になっていた響介への違和感。
今それは、確信に変わる。
「たしかに俺は君の肌に触れることができない。だから、キスもできない。けれどその理由は、まだ言えないんだ…」
その夜。響介が誰かに電話しているのを盗み見た。
「ああ、そろそろ俺の知らない日付に入る。……そうだな。あの事件があるのは明日のはずだ。今から君の家に行くよ。ふたりで話そう」
響介が電話を切る直前、スマホの画面に、夜月凪(やづきなぎ)と表示されているのが見えた。
同じクラスの子だ。
夜中なのに、響介はその子のもとに向かい、家を出た。