Karma

女が食べていたもの……それはさっきまで退院を祝って、夕食を一緒に食べたお母さんだった。


目の前の出来事が、現実で起こったものだとは信じられなかった。


……これは夢だ。
私は悪夢の中にいるんだ。


そう自分に言い聞かせて、現実から逃れようとする。


しかし、嫌でも血の匂いが鼻腔を突き刺して、それを見せつけられる。


死体は、お母さんだけではない。


部屋に飛び散った肉片の数々。


よく見ると、もとはお父さんであっただろう肉塊もまじっている。


多分、お母さんよりも前に女に食べられたんだ。それで体をバラバラにされて……


……待って。じゃあ和哉は?
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