Karma
「俺も桜を止めようとしたんだが……喰喰の力で、完全に化け物になっちまってた。あいつはもう、俺の知ってる桜じゃない」
私は手錠を外し、一示さんに応急措置をする。
でもダメだ。止血しただけじゃ助からない。
「私の他に誰か見ませんでした? 祐希と一太郎君と、響介を」
三人は無事だろうか?
それとも屋上で殺されて?
「分からんが、赤ちゃん部屋に連れてかれたのかもな…」
「赤ちゃん部屋?」
「ここは街外れにある廃墟の洋館だ。昔、大富豪が住んでたっていう噂の。今は地下の書庫にいるんだが、赤ちゃん部屋は最上階の展望室にある…」
一示さんはしゃべる度にゲホゲホと血を吐く。
「そこで、桜は何を?」
「さぁな。でもろくなことじゃねぇよ。拐われた元クラスメートたちは全員そこだ。それに、喰喰も出入りしてた」