Karma
「モヌメントゥム。私は記録者だからね」
凪はカメラを手にし、私の顔を撮る。
「喰喰の血を引く者は、彼女の能力の一部を無効化できる。私は今、唯一生き残っている血縁者として、喰喰が改竄する前の世界を記録し、正しい世界の記憶として残しているの」
部屋には天井に届くほど本がつまれている。
凪が全部、記録したのだろうか。
「だから響介の秘密も知ってる。そうなんでしょ?」
凪の目が、暗く沈む。
「私は、記録したことは一切、語らない。そう決めてるから」
まるでロボットか、人形のように凪は表情がない。
「響介から直接きくよ。響介もきっと、それを望んでるだろうから」