Karma
「本来なら昨日、メイは死ぬはずだった。おそらく、桜によって。俺は絶望し、ある願いを叶えるのと同時に、中三の夏に戻ったんだ。だけどその代償に」
響介は私に手の平を見せる。
「君に触れられなくなった。世界で一番、“ボク”が愛していた君にね…」
響介があまりにも寂しそうに微笑むから、私の胸に、もどかしい想いがあふれてくる。
「響介は過去に戻るとき、どんな願いを叶えたの? 私に触れられなくなってまで、何を叶えたの?」
響介は私から目をそらした。
「ごめん。俺にはまだ言えない。と言うより、話す勇気がないんだ。話せば、きっと君は」
響介は空を仰いだ。
「俺を……嫌いになるだろうからね」