Karma
見ると、窓辺の方で火が上がっている。
祐希と凪が動いたんだ。
私は作戦内容を頭で暗唱しながら、あたりをうかがう。
「は、はは、早く逃げてみんな!」
一太郎君がわざと混乱をあおる。
何も知らないクラスのみんなは、パニックになり、一斉に教室の入り口へ向かう。
私はそんな人の波を逆走する。
混乱に乗じて“あいつ”に接近するために。
『間違いない。こいつが喰喰だ』
病院で話した、一示さんの姿が目に浮かぶ。
手にはクラスの集合写真。
私は一示さんが指差した女の子のスカートの裏に、発信器をつける。